Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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てらだとらひこ

黄道

和辻 哲郎

Lesen Sie 黄道 (てらだとらひこ) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.971 Zeichen · 59 Bildschirme

Aozora Bunko

がその当時白い入道雲を噴煙だときめた自分は、その雲の根方に薄黒く立ちのぼっている煙だけを火事の煙だと考えた。見ると南方に一つ、東方に一つ立ちのぼっている。自分は少しでも遠く眺め渡すために、そこいらでは一番高い鉄道の線路へのぼった。電車がとまったので線路にはもう人が絡繹として歩いている。自分はその内の一人を捕えて火事の見当を相談した。南の方のは青山だろうということであった。(これは実際はどこの烟であったか知らない。青山は焼けなかったはずである。方角からいえば高輪御殿の烟だったとも思われる)東の方のはそのとき解らなかったが、たぶん溜池の火の烟でそれが日比谷の烟と一つになって見えたのであろう。が自分は相変わらず火事は消えるものときめて、別に驚かなかった。驚いたのは自分の話しかけた相手が、激震の当時穴八幡にいたと話したことであった。彼は穴八幡のガッシリしたお堂が今にも倒れるかと思うほど揺れたことを話して、「ここいらはあんなに瓦が残っていますがね、高田の方はひどうがしたよ」と言った。それでは、と自分は驚いたのである、あの激震のときからもうそんなに時間が経ったのか、穴八幡からここまで歩いて来られるほどの時間が。