Japanische Klassiker mit Furigana
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てらだとらひこ
黄道
和辻 哲郎
Lesen Sie 黄道 (てらだとらひこ) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.971 Zeichen · 59 Bildschirme
そうして養魚場のあたりへ逃げて、数日の間食わず飲まずで暮らした。
日本橋、京橋の方は地盤がいいとみえて倒壊家屋が少なく、従って出火も少なかった。だから地震後数時間は火事の心配をしなかった。白木屋向こう側の鹿島ビルディングにいたK氏の話によると、四階の自分の室で地震に逢って、窓際の本箱を押えつつ窓から見ていると、隣の野沢組のビルディングの四階の窓越しにあわてて駛けて行く女の姿が見えた、と思う瞬間に突然その建物が低くなってパッと立ちのぼる埃の中に見えなくなった。しばらくして埃が薄らぐと、もう以前の建物は見えなかった。そうして見渡す限り瓦の落ちた屋根が続いていた。やや震動が弱まったとき、K氏はその同僚と共に七階建ての屋上へ逃げのぼったが、そのときにはもう火の手が三か所に上っていた。日比谷の方角に一か所、日本橋の本町付近に一か所、浅草の方角に一か所。が、やがて、十分も経ったかと思ううちに火の手は十二か所にふえた。それがしばらくするうちに二十四か所ぐらいにふえた。蔵前の高工からは物凄い火の柱が立ち、十二階はてっぺんから火を吹いた。(そのあと火元がどれほどふえたかはK氏も数えなかったのであろう、あるいは煙のために数えることができなかったのであろう)しかしこれほどの火事を眺望したK氏も、三時半ごろその建物を去るときに