Japanische Klassiker mit Furigana
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こうちょうのなげき
黄鳥の嘆き
甲賀 三郎
Lesen Sie 黄鳥の嘆き (こうちょうのなげき) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.792 Zeichen · 82 Bildschirme
歯痒うてしようがおまへなンだが、結局、名前も住んでる所も何も分らん男が一人、雪と雪との間の亀裂に落ちて死んだちゅう事だけで、委しい事は一向分りまへなンだ。
で、つまる所、私が態々乗鞍岳へ登って、得て来たちゅうものは、この一つだけだすが、之が、可成大きな発見だす。以前にも申しました通り、和武はこの時に山から帰ってから、二三年消息を晦まし、再び現われた時にはころッと性質が変っています。あれほど好きだった山登りもふっつり止めるし、惚れ抜いていた女子の所へも、ふっつり寄りつかなくなるし、喜んでいた上京も止めています。山で何事も起らんで帰って来たンなら兎に角、得体の知れぬ人間が途中で飛び込んで来て、四五日一緒にいて、忽ち消えてなくなっております。鳥渡変な事が考えられるやおまへンか。
そうなると、その変な旅人の人相が問題だすが、之が又はっきり覚えとる人夫があらへンのだす。和武と似ていたかちゅうて訊くと、なンやよう似ていたような気がするちゅう返事で間違えるほど似ていたかちゅうと、それほどでもないと答えるかと思うと、四五日の籠城の時に、一ぺん間違ったことがあるちゅうし、何をいうても山男見たいな人間のいうことで、さっぱり、はっきりした事がいえまへンので、どうにもならんのだす。