Japanische Klassiker mit Furigana
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くろねこ
黒猫
島木 健作
Lesen Sie 黒猫 (くろねこ) von 島木 健作 (しまきけんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.717 Zeichen · 14 Bildschirme
毎晩そんなことがあるその間に、昼には黒猫はいつもと少しも変らぬ姿を家の周囲に見せているのである。どこからどこまで彼には少しも変ったところがなかった。夜の犯人が彼だとしては、彼は余りにも平気すぎた、余りにも悠々としすぎていた。私はある底意をこめた眼でじーっと真正面から見てやったが、彼はどこ吹く風といったふうであった。
しかし母は譲らなかった。
或る晩、台所に大きな物音がした。妻は驚いて飛び起きて駆け下りて行った。いつもよりははげしい物音に私も思わず聴耳を立てた。音ははじめ台所でし、それからとなりの風呂場に移った。物の落ちる音、顛倒する音のなかに母と妻の叫ぶ声がしていた。
やがて音は鎮まった。
「もうだいじょうぶ。あとはわたしがするからあんたはもう寝なさい。」
「大丈夫ですか?」
「だいじょうぶとも。いくらこいつでもこの縄はどうも出来やしまい。今晩はまアこうしておこう……やれやれとんだ人騒がせだ。」
母の笑う声がきこえた。
妻が心もち青ざめた顔をして上って来た。
「とうとうつかまえましたよ。」
「そうか、どいつだった?」
「やっぱり、あの黒猫なんです。」
「へえ、そうか……」