Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くろゆり

黒百合

泉 鏡花

Lesen Sie 黒百合 (くろゆり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.148 Zeichen · 154 Bildschirme

Aozora Bunko

」とすっきりいった。両人は左右に分れたが、そのまま左右から、道の袖を捉まえて、ひしと縋って泣出したのである。道は弱って手を束ねてぼんやりとするのを見て、勇美子は早やばらばらと音のする雨も構わず、手を両人の背にかけて、蔵屋と、鍵屋と、路傍に二軒ならんだのに目を配って、熟と見たまい、

「二人とも聞きな、可いことを教えてあげよう、しょッちゅうそんなことをしていては、どちらにも好いことはないよ。こうおし、お前の処のお客は註文のあった食物をお前の処から持運ぶし、お前の処のお客はお前の店から持って行くことにして、そして一月がわりにするの。可いかい、怨みっこ無しに冥利の可い方が勝つんだよ。」

「おや、お嬢様、それでは客と食物を等分に、代り合っていたします。それでいてお茶代が別にあったり何かすると、どちらが何だか分らないで、怨はいつの間にか忘れてしまいましょう。なるほどその事たよ。さあ、二人とも、手を拍ったり。」

「やあ、占めろ。」といって、義作は景気よく手を拍った。女は両人、晴やかな勇美子の面を拝んだ。

折柄荒増る風に連れて、石滝の森から思いも懸けず、橋の上へ真黒になって、転けつ、まろびつ、人礫かと凄じい、物の姿。