Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lesen Sie 黒百合 (くろゆり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.148 Zeichen · 154 Bildschirme
拓が身をもってお雪と地位をかえたとすれば、直ちに我を棄てて渠に愛を移すのは、世に最も公平なことであると思って、満身の血が冷くなった。けれどもあえて数の多量なるものが、愛を購い得るのではなかった。お雪は少年が優しく懸けた、肩の手を静かに払って、颯と赤らむ顔とともに、声の下で、
「はい、私はあのお邸へ上ります訳には参りませんのでございます。」
恐る恐るいうおもはゆげな状を、少年は瞻りながら、事もなげにいった。
「なぜだ。」
「内に拓さんという方がございます、花を欲しいと存じましたのも、皆その人のためなんですから。」と死を極めたものの、かえってかかることを憚らず言って差俯向く。
少年は屹となって、たちまち顔色を変えたのである。
理学士はこの時少年のいうことを聞こうとして、思わず堅唾を飲んだ。
夢中の美少年に憤った色が見え、
「おいら、島野とは違うぜ。今までな、おい、欲い思ったものは取らねえこたあねえ、しようと思ったことをしねえこたあなかったんだ。可いじゃあないか、不可ねえッて? 不可ねえか。うむそうか、可いや、へん、おいら詰らねえことをしたぜ。」
と投げるようにいって、大空を恍惚りと瞶めた風情。