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Japanische Klassiker mit Furigana

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くろゆり

黒百合

泉 鏡花

Lesen Sie 黒百合 (くろゆり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.148 Zeichen · 154 Bildschirme

Aozora Bunko

滝太郎は生れながらにして賊性を亨けたのである。諸君は渠がモウセンゴケに見惚れた勇美子の黒髪から、その薔薇の薫のある蝦茶のリボン飾を掏取って、総曲輪の横町の黄昏に、これを掌中に弄んだのを記憶せらるるであろう。

三十二

「滝さん、滝さん、おい、おい。」

「私かい、」と滝太歩を停めて振返ると、木蔭を径へずッと出たのは、先刻から様子を伺っていた婦人である。透かして見るより懐しげに、

「おう来たのか、おいら約束の処へ行ってお前の来るのを待ってたんだけれども、ちょいと係合で歩に取られて出て来たんだ。路は一筋だから大丈夫だとは思ったが、逢い違わなければ可いと思っての。」

「そう、私実は先刻からここに居たんだよ。路先を切って何か始まったから、田舎は田舎だけに古風なことをすると思ってね、旅稼の積でぐッとお安く真中へ入ってやろうかと思ってる処へ、お前さんがお出だから見ていたの。あい、おかしくッて可うござんした。ここいらじゃあ尾鰭を振って、肩肱を怒らしそうな年上なのを二人まで、手もなく追帰したなあ大出来だ、ちょいと煽いでやりたいわねえ、滝さんお手柄。」

「馬鹿なことを謂ってらあ、何もこっちが豪いんじゃあねえ。