Japanische Klassiker mit Furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lesen Sie 黒百合 (くろゆり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.148 Zeichen · 154 Bildschirme
大海の中だの、人の行かない島などには、宝にしろ景色にしろ、どんな結構なものがあろうも知れぬ、そして見つかれば大びらに盗んで可いのさ。
ただそれは難かしい。島へ行くには船もいろうし、山の奥へ入るには野宿だってしなけりゃならない。お前さんはお金子が自由だろう、我儘が出来るじゃあないか。気象はその通だし、胆玉は大いし、体は鍛えてある、まあ、第一、その目つきが容易じゃあない。火に焼れず、水に溺れずといったような好運があるようだ。好なことが何でも出来るッて、母様が折紙をつけて下すった体だよ、私が見ても違いはないね。
金目の懸った宝なんざ、人が大切がって惜しむもので、歩るくにも坐るにも腰巾着につけていようが、鎖を下ろしておこうが、土の中へ埋めてあろうが、私等が手にゃあお茶の子さ。考えて御覧、どんなに厳重にして守ったって、そりゃ人間の猿智慧でするこッた、現にお前さん、多勢黒山のような群集の中で、その観音様を一人で引揚げて来たじゃあないか。人の大事にするものを取って来るのは何でもないが、私がいう宝物は、山の霊、水の精、また天道様が大事に遊ばすものもあろう。人は誰も咎めないが、迂濶にお寄越しはなさらない、大風で邪魔をするか、水で妨げるか、火で遮るか。