Japanische Klassiker mit Furigana
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ねずみとはとむぎ
鼠と鳩麦
宮本 百合子
Lesen Sie 鼠と鳩麦 (ねずみとはとむぎ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.253 Zeichen · 5 Bildschirme
友達と火鉢に向いあって手をかざしていたら、その友達がふっと気づいたように、
「ああ、一寸、これ御覧なさい。こういうものがあなたの爪にあって?」
左の中指の爪のところをさすのを覗きこんで見ると、そこには薄赤い爪の中ごろに、すこし輪廓のぼやけた白い小花のような星が一つ出ているのであった。私はふーんと感心して、自分の十の指先を揃えて眺め直した。
「私にはないわ、そんなもの」
「そうでしょう? でも、私にはあるのよ。だから着物が出来るのよ」
そういう昔からの云いならわしがあるのだそうだ、私の指の爪に白い小さな星が出来ると着物がふえるという。
「だって――変ねえ……いつ本当に着物なんか出来るの?」
「きっとこの星の消えないうちなんでしょう」
は、は、は、は、とその友達は面白そうに笑った。毎日の暮しの事情はお互にわかっていて、その友達がきょうあす着物をこしらえることなど思いもよらないのであった。私は、
「白い星の代りにこんなもの持っている」
と右手の拇指を見せた。
「あら!」
友達は真顔になって、
「いつ出来たの?」
ときいた。
「いつだか。――何年かの間にいつの間にか出来ちゃった。