Japanische Klassiker mit Furigana
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はなのひょうげん
鼻の表現
夢野 久作
Lesen Sie 鼻の表現 (はなのひょうげん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.303 Zeichen · 141 Bildschirme
そうして子孫に伝わるとでも申しましょうか。
顔面中央の一肉団……本来不動、無表現の鼻柱はかくしてその人の個性、性格、人格を表明すると共に、父母未生以前の因果、弥勒の出世以後の因縁までも同時に眼の前に結び止めて、輪廻転生のあらたかさをさながらに拝ませているのであります。吾々の生涯に積んだ悪業善行は、こうして子々孫々の後までも鼻の表現の中を流転して、その運命を支配して行くのであります。
ずっと前に研究を致しました……
「鼻の表現能力は、その無表現のところに在る……
無から有を生ずるところに在る……
不変不動のまま千変万化するところにある……
造化の妙理、自然の大作用はここにも窺う事が出来る……」
という事実が如何に驚異に値するか……ただ言語道断。気を呑み声を呑で「鼻」の前に低頭平身する他ありませぬ。
昔から偉人とか傑士とか、又は苦労人と呼ばれる人々は、多少に拘らず無意識の裡にこの間の消息を飲み込んでおったもののようであります。
「人品骨柄卑しからぬものと見えた。召し抱えよう程に名を問うて参れ」
といったような話があります。この人品骨柄卑しからぬという見処は、その鼻の表現にあるので、眼や口が如何に清らかであっても鼻の表現が卑しかったら落第であります。