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Japanische Klassiker mit Furigana

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はなのひょうげん

鼻の表現

夢野 久作

Lesen Sie 鼻の表現 (はなのひょうげん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.303 Zeichen · 141 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして最も忠実にこの任務を果しているものであります。

ここまで研究して参りますと、鼻の静的表現なぞは全く問題でなくなって参ります。

その人の本心が喜ばない以上、鼻は決して喜びの色を見せませぬ。そうして内心不平であれば遠慮なくムッとした色を見せ、残念であれば差し構い無しに怨めしい色をほのめかしているのであります。

「妾はもうとても皆様の御噂にかかるような顔じゃ御座いませんよ。毎日鏡を見るたんびに親を怨んでいるので御座いますよ」

と如何にも口惜しそうに云っていても、鼻ばかりは正直に、

「そう云っとかないと悪いからね」

という気持ちをうごめかしているのであります。

世間への義理や家内への示しのため、親類会議の真中へ一人息子を呼び出して、

「久離切っての勘当」

を云い渡す親達の怒った眼と正反対に涙ぐましい鼻の表現――そこにすっかり現われている千万無量の胸のうちは、その座にいる人々をして道理至極とうなずかせずには措きません。

「あの後家さんはいつも呑気そうに気さくな事ばかり云っては人を笑わしているけれど、流石にどことなく淋しそうな顔をしているわね」

と界隈の噂に上るのは、その後家さんの鼻の表現が他人にうつるからであります。