Japanische Klassiker mit Furigana
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はな
鼻
Lesen Sie 鼻 (はな) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.778 Zeichen · 12 Bildschirme
弟子の僧はこれを見ると、足を止めて独り言のようにこう云った。
――これを鑷子でぬけと申す事でござった。
内供は、不足らしく頬をふくらせて、黙って弟子の僧のするなりに任せて置いた。勿論弟子の僧の親切がわからない訳ではない。それは分っても、自分の鼻をまるで物品のように取扱うのが、不愉快に思われたからである。内供は、信用しない医者の手術をうける患者のような顔をして、不承不承に弟子の僧が、鼻の毛穴から鑷子で脂をとるのを眺めていた。脂は、鳥の羽の茎のような形をして、四分ばかりの長さにぬけるのである。
やがてこれが一通りすむと、弟子の僧は、ほっと一息ついたような顔をして、
――もう一度、これを茹でればようござる。
と云った。
内供はやはり、八の字をよせたまま不服らしい顔をして、弟子の僧の云うなりになっていた。
さて二度目に茹でた鼻を出して見ると、成程、いつになく短くなっている。これではあたりまえの鍵鼻と大した変りはない。内供はその短くなった鼻を撫でながら、弟子の僧の出してくれる鏡を、極りが悪るそうにおずおず覗いて見た。
鼻は――あの顋の下まで下っていた鼻は、ほとんど嘘のように萎縮して、今は僅に上唇の上で意気地なく残喘を保っている。