Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あだこ
あだこ
山本 周五郎
Lesen Sie あだこ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.762 Zeichen · 46 Bildschirme
そうだ、それから彼女は近よって来て、両手をひろげながらあまえた声で云ったのだ。
――抱いてちょうだい。
彼はなにもしなかった、できなかったのだ。圧倒され眩惑されていただけでなく、そういう場合にどうすべきかということを知らなかったからだ。みすずは彼よりもはるかに能動的であった。次に起こることを充分にたのしもうとするような、きらきらした眼でみつめながら、自分の欲することをさせようとして彼をみちびいた。もちろんたいしたことではない、少しばかり早熟な、少女らしい好奇心にかられただけのことであろうが、そこでも彼はばかのように狼狽し、ぶきようにしりごみをするばかりだった。
みすずは彼を放し、彼からはなれて、訝しそうな、さぐるような眼つきで彼を見まもった。それから、ぬぎすてた物を順にゆっくりと着ていった。
それだけのことなのだ。みすずは十五歳とちょっとで、自分のからだの美しさを、許婚である彼に誇りたかったのであろう。ほんの僅かだけ、昂奮にかられて好奇心を起こした。それ以上の意味はなかったに相違ないが、半三郎にとっては異常な出来事であり、心の深部に、ぬぐい去ることのできない、強烈な印象を与えられた。