Japanische Klassiker mit Furigana
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あとがき(『みやもとゆりこせんしゅう』だいさんかん)
あとがき(『宮本百合子選集』第三巻)
宮本 百合子
Lesen Sie あとがき(『宮本百合子選集』第三巻) (あとがき(『みやもとゆりこせんしゅう』だいさんかん)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.830 Zeichen · 4 Bildschirme
「美しき月夜」は一九一九年の夏アメリカのレーク・ジョウジという湖畔に暮したころに書かれた。この作品は、われわれの人生に災難という形であらわれる偶然の力につよく印象づけられたことがあって、それが題材にされた。それから数年後に書かれた「顔」も、またちがった意味で偶然が人生に与える影響ということについて深く動かされたためであった。南ドイツであったかある地方に毎年キリスト受難劇が行われる習慣があり、その年主役キリストを演じる農民の写真が当時の新聞にのった。世間で偉いと思われている人物とそっくりの顔立ちに生れついているなどという偶然は、ある種の人間にとって、何と皮肉で腹立たしいことだろう。不肖の息子が、顔立ちばかりは卓越していた父親そっくりであるという自然の冷厳なしきうつしとともに。不幸にもキリストなどに似て生れたことが、ほんとにその男のその男らしい生きかたに、どんな作用も及ぼさないとは思えない。自分というものを、外形の偶然からきめられる、丁度境遇の偶然で、自分の生きかたをきめられる場合が多いように。
「顔」は、様々な偶然とそれに対して自主的であるはずの自分の生涯という問題にふれている。