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Japanische Klassiker mit Furigana

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あまりもの

あまり者

徳永 直

Lesen Sie あまり者 (あまりもの) von 徳永 直 (とくながすなお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.421 Zeichen · 17 Bildschirme

Aozora Bunko

そして、世の中に、これほど遠慮しいしい生きながら、また、余計な人間のように、取り扱われた人はないだろう。恐らく、兵さんから、あの特種な、鰻取りの技倆と、泳ぎの手練を除いたら、あの男は、或いは、世間の人から撲殺されたかも知れない。

と、言っても、決して兵さんが悪い人間であったからではない。それは、余りに正直であり、勇敢であり、貧乏であったからだ。

私は、兵さんを、私が物心のついた時分から知っている。

兵さんの親は、お近婆さんと言う母親一人きりしかなかった。兵さんの父なる者は、後にも先にもなかった。恐らくに、徳市という兄と共に、或いは、少し低脳な母親と共に、永久に自分の父親は何人であるかを知らないだろう。

兵さんの母親、お近婆さんは、さわら(藁で作ったタワシ)売りであった。

百あまりのさわらを担いで、ボロボロの着物を引きずった二人の子を引張って、町々を売って歩いた。

寒い木枯の夕暮など、母親三人とも、ブルブルふるえながら、私の家へよくやって来た。

私の家は、陸軍の残飯(兵卒の食い余し)を売っていたので飯を食べに来るのだった。

「まあ、お近婆さん、徳ちゃんと兵ちゃんは、顔色が変っているじゃないか」