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Japanische Klassiker mit Furigana

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あめんちあ

あめんちあ

富ノ沢 麟太郎

Lesen Sie あめんちあ von 富ノ沢 麟太郎 (とみのさわりんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.594 Zeichen · 83 Bildschirme

Aozora Bunko

母の手を離れた小児が路傍へ這い出て来て泣き叫んだ……と、彼の靴は地面を離れなかった。

彼はいた。

その刹那、彼の目前には、色あざやかに影絵のようなものが浮動した。

頬のこけおちて、瞼のたるんだ、見るからに生気のない若い男が、無意識というよりも故意に、彼の足元を塞いでいるその小さな人の子を撮みあげて、傍の溝のなかへ捨てようとした。

彼は躊躇いがちに、その男を掴えた。

同時に彼は徐ろにその小児を拾いあげて、途方に暮れた。

その時彼の両手でしっかりと支えられていたその小児は、誰か他の人のために無理やりに引きとられていた。

彼は驚き以上に戦きを感じた。

――彼の目前には、今朝、彼が夢に見たと寸分変りない、あの蒼白い顔色の小娘が佇んでいた。

そうして不潔ではないが色褪せた花形模様の着物を着ている彼女は、いまは泣き止んでいるその小児を抱いていた。

彼は淡い気持から彼女をなつかしんだのであったが、一言も物を言いかけなかった。

彼には何事かが予想されるように感じられた。

それにしても、あの若い男、あの頬の恐ろしくこけた男、あの瞼の垂れ下った男は、一たい誰であったろうか。

一たい何処から現れて何処へ消えて行ったのであろうか。