Japanische Klassiker mit Furigana
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あるひのれんげつに
ある日の蓮月尼
岡本 かの子
Lesen Sie ある日の蓮月尼 (あるひのれんげつに) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.878 Zeichen · 25 Bildschirme
だが蓮月さんや、あんたもあまり夜更しは毒や、程々にしなされよ。
蓮月 ――なるべく気をつけます。
老僧 ――それにも一つ、あんたはいつも戸をあけ放しで寝なさるが、あれも悪いこっちゃ。いくら田舎でも盗っ人は居るからのう。
蓮月 ――盗人がはいりましても、何も持って行くものは御座いません。
老僧 ――そうばかり云うものでもない。鍋一つ失うても、直ぐその日からの不自由じゃからな。
蓮月 ――御深切は頂きます。
老僧 ――どれ、お休み。
蓮月 ――お休みなさいまし。
(老僧欠伸を続けながら入る。蓮月再び絵筆をとって仕事にかかる。夜は更けて行く様子。糸繰り車の音も水車の音ももはや聞えず。風に林の鳴る音寂しく、梟が鳴き出す。蓮月は仕事の三昧に入り、筆を働かすに余念も無い。しばらくして覆面した一人の男庵室に忍び寄る。蓮月の起きて居る姿を見て躊躇し引返しかけたが、また勇気を取り戻すに努める様子。この態度をくり返すこと五六度。躓きて縁の上に音を立てる。蓮月始めて気が附き、絵筆を控え闇を透して見る。)
蓮月 ――(落ち付いた声で)どなたです。
盗人 ――……はい。
蓮月 ――どなたですか。