Japanische Klassiker mit Furigana
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あるかんぬしのはなし
ある神主の話
田中 貢太郎
Lesen Sie ある神主の話 (あるかんぬしのはなし) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.116 Zeichen · 10 Bildschirme
翌日になって勘作は、水の男の云ったことを考えてみたがどうも真箇にできない。で、そのままにして相変らず漁師をやっていたが、それから水の男も来なければ漁もなくなったので、水の男の云ったことを思い出してその年の秋船も網も捨てて西へ向って出発した。
水が枯れて河原の広広とした大きな河が来た。勘作はこの河ではないかと思って、渡船場におりようとする河土手になった林の中を注意して歩いていた。と、路の上に新しい石磴があって、やはり新らしい檜の小さな鳥居が見えた。勘作はたしかにこれだと思ってその石磴をあがって往った。
夕陽の中を蜻蛉が二つ三つ飛んでいた。石磴をあがり詰めると檜の香の紛紛する小社があった。勘作はその前に往って頭をさげて拝んだ。
「勘作か、よう来た」
それは聞き覚えのある水の男の声であった。勘作は頭をあげて木連格子の間から中の方を見たがなにも見えなかった。
「二三日のうちに家もできる、それまでは、堂の内で寝るがいい」
勘作は縁に腰をかけて、肩に打ちかけた風呂敷包を置いた。
「お前はこれから、村へ往って来るがいい、その石磴をおりて村の方へ歩いて往くと、牛を牽いた老人が来る、その老人に、今、水神様のお告げがあったが、今晩、大水が出るから、河原へ乾してある稲は、すっかり執りこまなければならんと云うがいい」