Japanische Klassiker mit Furigana
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いたずらこぞうにっき
いたずら小僧日記
佐々木 邦
Lesen Sie いたずら小僧日記 (いたずらこぞうにっき) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 63.226 Zeichen · 128 Bildschirme
すると森川さんが乃公の顔をジロジロ眺めて、
「太郎さんが知っているだろう」
と言った。乃公が知っているものか。
「いいえ、僕知っているもんですか。ポチですよ。ポチが悪いのです。僕が此間ポチに写真を喰べさせたら、ポチが啣えて表へ持って行ったんです。きっと何処へ落して来たんです。真正に困る奴だ」
「それじゃお前が写真を出したんだね」
とお春姉さんが恐ろしい権幕をした。再び言う、猫は袋から飛出した。乃公は命がけで床の中へ潜り込んだ。
乃公は今度遠くの学校へやられるのだ。三月の休暇までは帰って来られないんだ。けれども家にいて姉さん達に苛められるよりか余程得だと思う。学校には乃公位の子供も大勢いるそうだ。広告には「土地高燥にして空気新鮮遠く都会の雑沓を離れ、児童の勉学並に健康に適す。汽車並に電車の便あり」と温泉場の案内見たような事が書いてあった。尚お幼年生の為めには特別の設備ありとしてあるから、満更の学校でもなかろうとお父さんが言った。
家を出る時は悪いものだ。お母さんや姉さん達が玄関まで送ってくれた。
「能く先生の仰有る事を聴いて、風邪をひかないようにね」
とお母さんに外れた鈕をはめて貰った時には、乃公は喉へ団子が閊えたような心持がして、黙ってお辞儀をした。