Japanische Klassiker mit Furigana
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うすゆきしょう
うすゆき抄
久生 十蘭
Lesen Sie うすゆき抄 (うすゆきしょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.454 Zeichen · 59 Bildschirme
大炊介の人柄は、血の荒れの見え透く獣物じみた武辺流のなかでは、たしかに一風変った存在だったろうが、それはそれだけのもので、冷静な少女の心を魅するほどの力があったとは思えない。大炊介が持ちあわしているいろいろな特質は、そのころはまだ人知れぬ深いところで熟成しながらぐっすりと眠りこけている時期だったので、外見には、なにひとつ嘱目に価するようなものはなかったはずだからである。
事実のところ、行子が大炊介を愛していたのかどうか、それさえ疑問なので、その当時は、妙にとりすました、いやなやつだと思っていたのかも知れない。行子の唐突な熱発は、摩擦抵抗から生じる熱作用のようなものだといったが、これはほぼ真相に近いので、行子という娘は、他人から無視されたり、自由を拘束されたりすると、いちど弾きかえしてやらなければ気がすまない、強い発条のようなものを持っていて、力いっぱいに反抗しているときくらい生の充実を感じることはない。事がむずかしければむずかしいほど、いっそう奮いたつという風になる。
あんな当外れがなく、無下に失望を味わわされることもなく、父が三重閣のてっぺんに追いあげたり、十七にもなる娘のそばで、毎夜母が添臥せするような鬱陶しい所為をしてみせなかったら、それほどの熱をだすこともなく、上の谷戸にいる男を、無理から身近