Japanische Klassiker mit Furigana
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うすゆきしょう
うすゆき抄
久生 十蘭
Lesen Sie うすゆき抄 (うすゆきしょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.454 Zeichen · 59 Bildschirme
双方の荷駄についていた鉄砲隊が、銃身のきらめきを見るなり、ほとんど同時に、
「来た」
と叫んだ。最初に射ちだしたのは道長のほうだった。箱根路は鷹巣山につづいている。風摩が襲うとすれば、そのほうから来るはずだったから、この措置は一応当然だったが、この一発は、その後につづく惨澹たる災厄をひきおこす運命的な発砲になった。
道益のほうは荷駄をつけた馬を岩阻道に伏せ、それを楯にして目ざましい応戦をはじめた。モスケッタ銃の一斉射撃は、恐るべき破壊力をしめし、一挙に道長の荷駄の半数を倒した。
「やっつけろ、皆殺しにしろ、やっつけないと、やられるぞ」
道長はそう叱※(「口+它」、第3水準1-14-88)するなり、鉄砲を持って狂気のように前へ飛びだして行った。
「射て、射て、射て」
道益は闇のなかで耳馴れた声を聞いたと思った、はッとしてなにか叫び出そうとしたとき、真向からきた一弾に胸板を射ぬかれた。道益は不屈の精神をふるい起し、苦痛に耐えながら銃をとって射ちかえした。その弾丸は道長の眉間を貫いた。円明の遺言はこうしてまぎれもなく成就したのである。
そういうちっぽけな悲劇に関係なく、絶望的な殲滅戦は、それからなお二十分ほどもつづいた。