Japanische Klassiker mit Furigana
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おかよ
おかよ
山本 周五郎
Lesen Sie おかよ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.116 Zeichen · 19 Bildschirme
葭簾がこいの小屋の中で、自分にとりすがったときのおかよの手の温かさが、ひたむきな愛情に燃える眼が、ふるえていたその声が、いま弥次郎のまえにはっきりと思いだされた。――お待ち申していますよ。そう云った声の祈るような響きが、そこにおかよを見るほど、まざまざしく記憶によみがえってきた。弥次郎の眼からはらはらと涙がこぼれおちた。
「……おかよ」と彼は空を見あげながら呟いた、「待っているんだぞ、己は……八幡宮のお札が無くとも、りっぱに戦った、矢弾丸を避けるのは神護ではない、戦う心だ、死所を誤らぬ覚悟が矢弾丸に勝ったんだ、おまえがそれを教えて呉れた、待っているんだぞ、もうすぐ会える、帰ったら己は、おまえを……おまえを……」
× × × ×
「それで、そのかたは本当に二百石のご出世をなすったの」
「江戸へ凱陣なすってから三百石にご加増されたのですって、三百石になるとお槍を立てて歩けるんですってね」
「たいそうなご立身だこと」
目黒あたりは、その頃はまだ人煙も稀なと云ってよいほど辺鄙だったが、それでも不動尊のあたりは、町家もあり参詣人のために茶店なども出ていた。