Japanische Klassiker mit Furigana
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おさん
おさん
山本 周五郎
Lesen Sie おさん von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.128 Zeichen · 66 Bildschirme
二の六
「早くいい相手をみつけるんだな」背中を向けたまま参太が云った、「おまえはいいかみさんになるよ」
「あんたはだめなのね」
「もういちど云うが」
「女房持ち」とおふさが云った、「――あたしこうみえても芯の強いほうよ」
「大事にするんだな」と参太が云った、「おれはもう一と眠りするぜ」
二の六
炭屋河岸の小助店という長屋から出て来ると、子供が駆けよって「おじちゃん」と呼びかけた。振向くと子供はにっと笑い、逃げ腰になりながら「おれ腹がへっちゃったんだよ」と云った。
「よう、どうした」と参太が云った、「おめえこんなところにいたのか」
塔の沢からさがった、三枚橋のところで会った子供である。あのときと同じぼろを着、繩の帯にはだしで、乞食というよりも、山から迷い出て来た熊の仔、といった感じだった。
「あの女の人いっしょじゃないね」
「腹がへってるって云ったな」
子供は首を振った、「そんなでもない」
「箱根でもそう云ってたぜ」
「誰にでもってわけじゃないさ」と云って子供は参太を見あげた、「おじちゃん、捜す人がいなかったらしいね」
「いなかった、――おめえ、おれが人を捜しに来たってことを知ってるのか」