Japanische Klassiker mit Furigana
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おさん
おさん
山本 周五郎
Lesen Sie おさん von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.128 Zeichen · 66 Bildschirme
「あいつの兄きだよ」
作次は突き刺すような眼で、参太の顔を凝視してい、それから歯を見せて冷笑した。
「云うことは同じだな」と作次は歯のあいだから云った、「――何番めの男だ」
参太は自分の盃に酒を注いだ。
「おめえはおさんの何番めの男だ」と作次がひそめた声で云った、「おい、聞えねえのか」
「聞いてるよ、酒がこぼれるぜ」
作次は汁椀を見、ふるえる手でそれを持つと、七分がたはいっている酒を一と息に飲みほした。参太はしおどきだと思い、小僧を呼んで勘定を命じた。作次は口の中でなにか呟きながら、ふと立ちあがって、土間の奥のほうへふらふらと歩いていった。参太は勘定を済ませたうえ、作次がもっと飲みたがったら飲ませてやるようにと云って、幾らかの銭を渡した。
「あの人はどうせ朝まで動きませんがね」と小僧は云った、「でもこんな時刻になって、親方はうちへ帰れるんですか」
「銭が口をきくからな」と参太は云った、「あの男を頼むよ」
参太は外へ出た。小網町までゆけば知っている船宿がある、そこで泊ってもよし、舟でまわって飯田屋へ帰ってもいいと思った。「吉兵衛」を出て、ほんの四五間歩いたとき、うしろから作次が追って来て呼びかけた。