Japanische Klassiker mit Furigana
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おさん
おさん
山本 周五郎
Lesen Sie おさん von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.128 Zeichen · 66 Bildschirme
たいがいの者がそれほどには感じないんだ、そういうからだはごく稀にしかないし、そう生んでくれた親を有難いと思わなければいけないんだ。いやだわ、恥ずかしい、あたし自分がいやになったわ、とおさんは云った。夫婦ぐらしもいちおうおちつき、気持にゆとりもできてからだ。ふしぎなことに、恥ずかしいと口ぐせのように云いだしてからあと、却ってそれが激しくなった。おさんの躯には、ぜんたいに目のこまかな神経の網がひそんでいた。その網の目は極微にこまかく、異常に敏感であった。躯のどんな部分でも、たとえ手指の尖端にでも、そういう気持でちょっと触れば、すぐ全身に伝わって、こまかな神経の網目に波動と攣縮が起こり、それが眼の色や呼吸や、筋肉の収斂や、肢指や脊椎の屈伸に強くあらわれた。まったく意識しないものであり、いちど始まるとおさん自身にも止めることができなかった。正月になり二月になった。おれは一戸建ての家を借りてよかったと、つくづく思ったものだ。隣りが壁ひとえでもあったら、朝晩の挨拶にも困ったことだろう。幸いうしろは寺の土塀だし、長屋とは六七間もはなれていた。近所の者には気づかれずに済んだが、辰造は勘のいいやつで、そのうえ道楽者だから女には眼が肥えていたようだが、或るとき普請場でずけりと云やあがった。