Japanische Klassiker mit Furigana
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おしの
おしの
Lesen Sie おしの von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.139 Zeichen · 9 Bildschirme
いや、端正に過ぎる結果、むしろ険のあるくらいである。
女はさも珍らしそうに聖水盤や祈祷机を見ながら、怯ず怯ず堂の奥へ歩み寄った。すると薄暗い聖壇の前に神父が一人跪いている。女はやや驚いたように、ぴたりとそこへ足を止めた。が、相手の祈祷していることは直にそれと察せられたらしい。女は神父を眺めたまま、黙然とそこに佇んでいる。
堂内は不相変ひっそりしている。神父も身動きをしなければ、女も眉一つ動かさない。それがかなり長い間であった。
その内に神父は祈祷をやめると、やっと床から身を起した。見れば前には女が一人、何か云いたげに佇んでいる。南蛮寺の堂内へはただ見慣れぬ磔仏を見物に来るものも稀ではない。しかしこの女のここへ来たのは物好きだけではなさそうである。神父はわざと微笑しながら、片言に近い日本語を使った。
「何か御用ですか?」
「はい、少々お願いの筋がございまして。」
女は慇懃に会釈をした。貧しい身なりにも関らず、これだけはちゃんと結い上げた笄髷の頭を下げたのである。神父は微笑んだ眼に目礼した。手は青珠の「こんたつ」に指をからめたり離したりしている。
「わたくしは一番ヶ瀬半兵衛の後家、しのと申すものでございます。