Japanische Klassiker mit Furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme
湯屋は朝から寄合所のように賑わいを見せていた。
「長兄イ。聞いたか」
「何を」
「何をじゃねえ、千吉がしこたま儲けたッて話をよ」
「うんにゃ。聞かねえよ」
「迂濶だな」
「だっておめえ、知らねえもなァ仕方がねえや。――いってえ、あの怠け者が、どこでそんなに儲けやがったたんだ」
「どこッたっておめえ、そいつが、てえそうないかさまなんだぜ」
「ふうん、奴にそんな器用なことが出来るのかい」
「相手がいいんだ」
「椋鳥か」
「ちゃきちゃきの江戸っ子よ」
「はァてな、江戸っ子が、奴のいかさまに引ッかかるたァおかしいじゃねえか」
「いかさまッたって、おめえ、丁半じゃねえぜ」
「ほう、さいころじゃねえのかい」
「女が餌だ」
「女。――」
「相手を釣って儲けたのよ」
「そいつァ尚更初耳だ。――その相手ッてな、どこの誰よ」
「油町の紙問屋、橘屋の若旦那だ」
「ほう、そいつァおもしれえ」
「あれだ。おもしれえは気の毒だぜ。千吉は妹のおせんを餌にして、若旦那から、二十五両という大金をせしめやがったんだ」
「なに二十五両だって」
「どうだ。てえしたもんだろう」
「冗談じゃねえ。二十五両といやァ、小判が二十五枚だぜ。こいつが二両とか、二両二分とかいうンなら、まだしも話の筋が通るが、二十五両は飛んでもねえ。