Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

「春重さん。またお前、つまらねえ細工物でもこしらえたんだな」

「冗談じゃねえ、こしらえたもンなんぞた、天から訳が違うンだぜ」

「訳が違うッたって、そんな物がざらにあろうはずもなかろうじゃねえか」

「ところが、あるんだから面白えや」

「そいつァいってえ、なんだってんだい」

「爪よ」

「え」

「爪だってことよ」

「爪」

「その通りだ。おせんの身についてた、嘘偽りのねえ生爪なんだ」

「馬、馬鹿にしちゃァいけねえ。いくらおせんの物だからッて、爪なんざ、何んの役にもたちゃァしねえや。かつぐのもいい加減にしてくんねえ」

「ふん、物の値打のわからねえ奴にゃかなわねえの。女の身体についてるもんで、年が年中、休みなしに伸びてるもなァ、髪の毛と爪だけだぜ。そのうちでも爪の方は、三日見なけりゃ目立って伸びる代物だ。――指の数で三百本、糠袋に入れてざっと半分よ。この混じりッけのねえおせんの爪が、たった小判一枚だとなりゃ、若旦那が猫のように飛びつくなァ、磨ぎたての鏡でおのが面を見るより、はっきりしてるぜ」

春重のまわりには、いつか、ぐるりと裸の人垣が出来ていた。

五

「千の字。おめえ、いい腕ンなったの」