Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

「ふふふ」

「笑いごっちゃねえぜ。二十五両たァ、大束に儲けたじゃねえか」

「どこで、そいつを聞いた」

「壁に耳ありよ。さっき、通りがかりに飛び込んだ神田の湯屋で、傘屋の金蔵とかいう奴が、てめえのことのように、自慢らしく、みんなに話して聞かせてたんだ」

「あいつ、もうそんな余計なことを喋りゃがったかい」

「喋ったの、喋らねえの段じゃねえや。紙屋の若旦那をまるめ込んで。――」

下総武蔵の国境だという、両国橋のまん中で、ぼんやり橋桁にもたれたまま、薄汚い婆さんが一匹五文で売っている、放し亀の首の動きを見詰めていた千吉は、通りがかりの細川の厩中間竹五郎に、ぽんと背中をたたかれて、立て続けに聞かされたのが、柳湯で、金蔵がしゃべったという、橘屋の一件であった。

が、もう一度竹五郎が、鼻の頭を引ッこすって、ニヤリと笑ったその刹那、向うから来かかった、八丁堀の与力井上藤吉の用を聞いている鬼七を認めた千吉は、素速く相手を眼で制した。

「叱ッ。いけねえ。行っちめえねえ」

「合点だ」

するりと抜けるようにして、竹五郎が行ってしまうと、はやくも鬼七は、千吉の眼の前に迫っていた。

「千吉。