Japanische Klassiker mit Furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme
うちのお鍋も女なら、おせんちゃんも女だが、おんなじ女に生れながら、お鍋はなんて不縹緻なんだろう。お鍋とはよく名をつけたと、おいらァつくづくあいつの、親父の智恵に感心してるんだが、それと違っておせんさんは、弁天様も跣足の女ッぷり。いやもう江戸はおろか日本中、鉦と太鼓で探したって……」
「おいおい藤さん」
肩を掴んで、ぐいと引っ張った。その手で、顔を逆さに撫でた八五郎は、もう一度帯を把って、藤吉を枝折戸の内へ引きずり込んだ。
「何をするんだ。八つぁん」
「何もこうありゃァしねえ。つべこべと、余計なことをいってねえで、速くおせんちゃんを、奥へ案内してやらねえか。師匠がもう、茶を三杯も換えて待ちかねだぜ」
「おっと、しまった」
「おせんちゃん。少しも速く、急いだ、急いだ」
「ほほほほ。八つぁんがまた、おどけた物のいいようは。……」
駕籠を帰したおせんの姿は、小溝へ架けた土橋を渡って、逃れるように枝折戸の中へ消えて行った。
「ふん、八五郎の奴、余計な真似をしやァがる。おせんちゃんの案内役は、いっさいがっさい、おいらときまってるんだ。――よし、あとで堺屋の太夫が来たら、その時あいつに辱をかかせてやる」