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Japanische Klassiker mit Furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

「王子路考」の名は、押しも押されもしない、当代随一の若女形と極まって、出し物は何んであろうと菊之丞の芝居とさえいえば、見ざれば恥の如き有様となってしまった。

したがって、人気役者に付きまとう様々な噂は、それからそれえと、日毎におせんの耳へ伝えられた。――どこそこのお大名のお妾が、小袖を贈ったとか。何々屋の後家さんが、帯を縫ってやったとか。酒問屋の娘が、舞台でした簪が欲しさに、親の金を十両持ち出したとか。数えれば百にも余る女出入の出来事は、おせんの茶見世へ休む人達の間にさえ、聞くともなく、語るともなく伝えられて、嘘も真も取交ぜた出来事が、きのうよりはきょう、きょうよりは明日と、益々菊之丞の人気を高くするばかり。

が、おせんの胸の底にひそんでいる、思慕の念は、それらの噂には一切おかまいなしに日毎につのってゆくばかりだった。それもそのはずであろう。おせんが慕う菊之丞は、江戸中の人気を背負って立った、役者の菊之丞ではなくて、かつての幼なじみ、王子の吉ちゃんその人だったのだから。――

何某の御子息、何屋の若旦那と、水茶屋の娘には、勿体ないくらいの縁談も、これまでに五つや十ではなく、中には用人を使者に立てての、れッきとしたお旗本からの申込みも二三は数えられたが、その度毎に、おせんの首は横に振られて、あったら玉の輿に