Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おにぎりのあじ
おにぎりの味
中谷 宇吉郎
Lesen Sie おにぎりの味 (おにぎりのあじ) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.220 Zeichen · 3 Bildschirme
お握りには、いろいろな思い出がある。
北陸の片田舎で育った私たちは、中学へ行くまで、洋服を着た小学生というものは、誰も見たことがなかった。紺絣の筒っぽに、ちびた下駄。雨の降る日は、藺草でつくったみのぼうしをかぶって、学校へ通う。外套やレインコートはもちろんのこと、傘をもつことすら、小学生には非常な贅沢と考えられていた。
そういう土地であるから、お握りは、日常生活に、かなり直結したものであった。遠足や運動会の時はもちろんのこと、お弁当にも、ときどきお握りをもたされた。梅干のはいった大きいお握りで、とろろ昆布でくるむか、紫蘇の粉をふりかけるかしてあった。浅草海苔をまくというような贅沢なことは、滅多にしなかった。
しかしそういうお握りの思い出は、あまり残っていない。それよりも、今でも鮮かに印象に残っているのは、ご飯を焚いた時のおこげのお握りである。
十数人の大家族だったので、女中が朝暗いうちから起きて、煤けたかまどに大きい釜をかけて、粗朶を焚きつける。薄暗い土間に、青味をおびた煙が立ちこめ、かまどの口から、赤い焔が蛇の舌のように、ちらちらと出る。
私と弟とは、時々早く起きて、このかまどの部屋へ行くことがあった。