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Japanische Klassiker mit Furigana

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おにぎりのあじ

おにぎりの味

中谷 宇吉郎

Lesen Sie おにぎりの味 (おにぎりのあじ) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.220 Zeichen · 3 Bildschirme

Aozora Bunko

おこげのお握りがもらえるからである。ご飯がたき上がると、女中が釜をもち上げ、板敷の広い台所へもってくる。釜の外側には、煤が一面についているので、それに点いた火が、細長い光の点線になって、チカチカと光る。まだ覚め切らぬねぼけまなこの目には、それが夢のつづきのように見えた。

やがてその火も消え、女中が蓋をとると、真白い湯気がもうもうと立ち上がる。たき立てのご飯の匂いが、ほのぼのとおなかの底まで浸み込むような気がした。女中は大きいしゃもじで山盛りにご飯をすくい上げて、おひつに移す。最後のおこげのところだけは、上手に釜底にくっついたまま残されている。その薄狐色のおこげの皮に、塩をばらっとふって、しゃもじでぐいとこそげると、いかにもおいしそうな、おこげがとれてくる。女中は、それを無雑作にちょっと握って、小さいお握りにして、「さあ」といって渡してくれた。

香ばしいおこげに、よく効いた塩味。このあついお握りを吹きながら食べると、たき立てのご飯の匂いが、むせるように鼻をつく。これが今でも頭の片隅に残っている、五十年前のお握りの思い出である。

その後大人になって、いろいろおいしいものも食べてみたが、幼い頃のこのおこげのお握りのような、温かく健やかな味のものには、二度と出会ったことがないような気がする。