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Japanische Klassiker mit Furigana

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おばなさわ

おばな沢

山本 周五郎

Lesen Sie おばな沢 (おばなさわ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.479 Zeichen · 45 Bildschirme

Aozora Bunko

節子は穿物をぬいであがった。一方に切炉のある板間があり、その三方に畳が敷いてある。炉の右がわに夜具をのべて、そこに人が寝ていたが、顔に白い布がかぶせてあるのを見て、節子ははっと息が詰った。――顔にかけてある布のぞっとするような白さ、横たわったまま微動もしない躯の怖しい沈黙。……節子は喘ぎ、両手をついて身を支えた。血がぐんぐん冷えてゆき、眼が廻って、今にも倒れそうになったのである。

「土民に弓でやられたのです、今朝まだ暗いうちでした、お気の毒です」

相良が夜具の裾をまわって来て、向うの枕許へ静かに坐った。

「独りで出ては危ないと、いつも注意してもいたんですが、今朝も部屋にみえないので、心配してみにゆくと、この下のねぶが沢というところに倒れていました。矢は心臓のまん中に当っていましたから、おそらく即死でしょう、私がみつけたときはもう冷たくなっていました」

節子は唇を噛んだ。相良の話を聞きながら、頭のなかではまったくべつな幻想が動いていた。

夜明けの暗い坂道がみえる。こっちの藪の蔭に相良がひそんでいる、彼は弓に矢をつがえ、息をひそめて、暗い道のかなたをじっとうかがっている。