Japanische Klassiker mit Furigana
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おもかげしょう
おもかげ抄
山本 周五郎
Lesen Sie おもかげ抄 (おもかげしょう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.947 Zeichen · 22 Bildschirme
「御厚志なんとも忝のうござる」
話が出来て六兵衛が立つと、
「これ椙江、お帰りだぞ」
と奥へ呼んだ、「お見送りぐらい出来ぬことはあるまい。――なに? 胸が痛む、仕様のないやつだな」
「いやどうぞその儘」
「我儘者でござる、どうか御容赦を」
言葉の端々に滲み出る妻への愛情、六兵衛は心の裡に羨ましさを感じながら別れを告げて出た、――と表に待っていた吉公が
「隠居さんちょいと」
声をひそめて手招きをする。
「なんだ」
「ちょいとここへ来て御覧なさい」
吉公は六兵衛を横手へ連れて行った。中の様子を聞いてみろと手真似で教えるから何だろうと耳を傾けると、小窓の障子の内で孫次郎の声がする。
「許せよ椙江、どうも客が来ると、男というやつは威張り度くなるもので、つい心にもなく荒いことを云って了う、――なに宜い宜い、そうして居れ、拙者はいまのうちに洗い物を片付けて来る」
「どうです隠居さん」
吉公が囁いた。
「毎でもこの調子ですぜ、これでも甘次郎じゃ有りませんか?」
「この馬鹿野郎」
ぴしゃり、吉公の横鬢が鳴った。
「あいてて!」
「何だと思やあ立聴きをしやぁがる、汝のような下司根性に何が分るんだ、二度とこんな卑しい真似をしやがると叩き出すぞ」