Japanische Klassiker mit Furigana
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おくみさんとそのしゅうい
お久美さんと其の周囲
宮本 百合子
Lesen Sie お久美さんと其の周囲 (おくみさんとそのしゅうい) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.369 Zeichen · 149 Bildschirme
と笑いながら云って居た。
赤い着物に包まった赤坊をお久美さんは宝物の様な気持で抱く事が出来た。
世界中の事と人とが皆自分の為に動いて居る様で、哀れな者に恵まずには居られなかった。
人の罪を庇わずには居られなかった。
今まで無心に繰して居た祈祷も今は明かに自分の慰めと成り、神の名を一度称える毎に心が高まって行くのを感じて居た。
朝夕の祈りに敬虔な気持で連り、静かな夜の最中、冴え渡った月の明るい時などには云い知れぬ霊感に打たれて、髪を震わせながら涙をこぼす事さえ有った。
お久美さんの身内には幸福が血行と共に高鳴りして居るので有った。
一日一時を非常に長く、お久美さんは四五日の日を送った。
六日目の日午後から三人で帰ると云う知らせを受けて、お久美さんは体中が堅く成った様に感じながら村の家へ帰った。
黙ってせっせとそう片付け栄えもしない家の中を掃除して、珍らしく掛花に昼顔の花を插して見たり、あやしげな山水の幅を掛けたりして漸う家らしくなった中に、小ざっぱりと身じまいをして薄く白粉さえ付けたお久美さんは喜びと恐怖の混じった表情を面に浮べて立ったり座ったり落付きなく動いて居た。