Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おじょろうぐも

お女郎蜘蛛

宮本 百合子

Lesen Sie お女郎蜘蛛 (おじょろうぐも) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.913 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

いざりよって丸い手鏡をとって自分のかおをのぞいた。ふっくらした丸みをもった頬と特別な美くしさと輝きをもった眼、まっかな唇に通った鼻、顔全体にみなぎって居る何とも云えないうすら寒い気持――そう云うものを女は女自身に感じて、

「私は若い――そして人より以上の力を神から授かって居る。私は男をどんな身分の高い人でも何でも、男ならば自分のどれいにする力を持って居る」

手かがみをひざにふせながらよろこびにふるえる声で斯うささやいた。

「私は若いんだ――」くりかえして又つぶやいて手をのばしてあかりをけしてしまった。日の高くなるまで女はすき通る様なかおをしてねて居た。目ざめるとすぐ枕元の地獄の絵を見て女はねむたげな様子もなくさえた笑声を家中にひびかせた。

日暮方、男は又御龍の玄関の前に立った。せまい一つぼのたたきの上には見なれない男下駄がぬぎっぱなしになって居た。男はフッと自分がこの上なくいやに思って居る事を連想してプッとつばを吐いてあともどりをした。

「もう来るもんか、ウン女があやまって涙をこぼしたって来るもんか、売女奴! きっと来ないぞ、己も男だ」

男はかおをあかくして目をさました子供の様なたわいもない事を自分では真面目に考えて肩を怒らせて居た。