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Japanische Klassiker mit Furigana

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おりつとこらと

お律と子等と

芥川 竜之介

Lesen Sie お律と子等と (おりつとこらと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.195 Zeichen · 51 Bildschirme

Aozora Bunko

看護婦は洋一の姿を見ると、ちょいと媚のある目礼をした。洋一はその看護婦にも、はっきり異性を感じながら、妙に無愛想な会釈を返した。それから蒲団の裾をまわって、母の顔がよく見える方へ坐った。

お律は眼をつぶっていた。生来薄手に出来た顔が一層今日は窶れたようだった。が、洋一の差し覗いた顔へそっと熱のある眼をあけると、ふだんの通りかすかに頬笑んで見せた。洋一は何だか叔母や姉と、いつまでも茶の間に話していた事がすまないような心もちになった。お律はしばらく黙っていてから、

「あのね」とさも大儀そうに云った。

洋一はただ頷いて見せた。その間も母の熱臭いのがやはり彼には不快だった。しかしお律はそう云ったぎり、何とも後を続けなかった。洋一はそろそろ不安になった。遺言、――と云う考えも頭へ来た。

「浅川の叔母さんはまだいるでしょう?」

やっと母は口を開いた。

「叔母さんもいるし、――今し方姉さんも来た。」

「叔母さんにね、――」

「叔母さんに用があるの?」

「いいえ、叔母さんに梅川の鰻をとって上げるの。」

今度は洋一が微笑した。

「美津にそう云ってね。好いかい?――それでおしまい。