Japanische Klassiker mit Furigana
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おりつとこらと
お律と子等と
Lesen Sie お律と子等と (おりつとこらと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.195 Zeichen · 51 Bildschirme
」
お律はこう云い終ると、頭の位置を変えようとした。その拍子に氷嚢が辷り落ちた。洋一は看護婦の手を借りずに、元通りそれを置き直した。するとなぜかの裏が突然熱くなるような気がした。「泣いちゃいけない。」――彼は咄嗟にそう思った。が、もうその時は小鼻の上に涙のたまるのを感じていた。
「莫迦だね。」
母はかすかに呟いたまま、疲れたようにまた眼をつぶった。
顔を赤くした洋一は、看護婦の見る眼を恥じながら、すごすご茶の間へ帰って来た。帰って来ると浅川の叔母が、肩越しに彼の顔を見上げて、
「どうだえ? お母さんは。」と声をかけた。
「目がさめています。」
「目はさめているけれどさ。」
叔母はお絹と長火鉢越しに、顔を見合せたらしかった。姉は上眼を使いながら、笄で髷の根を掻いていたが、やがてその手を火鉢へやると、
「神山さんが帰って来た事は云わなかったの?」と云った。
「云わない。姉さんが行って云うと好いや。」
洋一は襖側に立ったなり、緩んだ帯をしめ直していた。どんな事があってもお母さんを死なせてはならない。どんな事があっても――そう一心に思いつめながら、…………
二