Japanische Klassiker mit Furigana
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おとうさん
お父さん
林 芙美子
Lesen Sie お父さん (おとうさん) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.548 Zeichen · 76 Bildschirme
「君はどこから来たの」
金井君がたずねました。
「遠いところから来たの‥‥」
「遠いところってどこなの」
「深谷というところから歩いて来たの」
「へえ、深谷ってどこだい、健ちゃん知ってる‥‥」
深谷というのは、どこだか知らないけれども、おかあさんは、ねぎの話が出ると、すぐ、深谷のねぎはおいしかったというから、ねぎの出来るところから来たのかも知れないと思いました。
「ねぎのたくさん出来るところだろう‥‥」
僕がたずねると、その子は、「うん」といいました。
たぶん、おなかがすいているのでしょう、大変元気がありません。白目のところが青い、眼の大きい子です。
「八王子って遠いんだろう‥‥何しに行くの‥‥」
「おばあさんがいるんだよ」
「君一人で行くの‥‥」
「ああ、うちは東京なんだけど焼けてね、深谷の桶屋へ小僧に行ってたんだけど、つまらないから歩いてかえるんだよ。――もう歩くのつかれちゃった‥‥」
口をきくのもいやいやみたいに男の子はふかいためいきをつきました。金井君も僕もすっかり同情してしまいました。
「君、おなかすいてるんだろう‥‥」
金井君はそういって、ポケットから乾パンを出して男の子にやりました。