Japanische Klassiker mit Furigana
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おしげ
お繁
山本 周五郎
Lesen Sie お繁 (おしげ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.857 Zeichen · 14 Bildschirme
と彼は怒鳴る、「世間のやつらはみんな敵だ、寄ってたかっておらを苦しめやがる。いいとも、持っていけ、何でも持っていけ、おら何もいらねえ何もほしかあねえ」
家へ帰らない日は、いつも彼は村役場の消防小舎へもぐりこんで寝るのだ。
一日じゅう、主人の帰りを待って飢えていたお繁たちは、夜更けてからそっと家を出て行く、そしてごったく屋……酌婦のいる小料理店……の裏口を廻り歩いて残り物をもらい、どこかの暗がりで貪り喰べてはわずかにその日その日を凌いでいた。
こうして半年ほど経った。
するとある日、銀太郎の妻は乳呑児とお繁を捨てて、定吉という缶詰工場の若い職工とかけおちをしてしまった。
それはじつに思いがけないできごとであった。彼女は年からいえばまだ三十を出たばかりであったが、長いあいだの貧苦に疲れはてて、額はひどく抜けあがり、黄色く濁った眼のふちはいつも眼病のために赤く爛れていた。体はかさかさに乾いて痩せ細っているし、歯も半分は抜けたままになっていた。――若い職工にかけおちをさせるほどの何かが、いったい彼女の体のどこに残っていたのであろう。
「女にすたりはないというが、まったくこれは呆れた」