Japanische Klassiker mit Furigana
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くろがねてんぐ
くろがね天狗
海野 十三
Lesen Sie くろがね天狗 (くろがねてんぐ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.616 Zeichen · 18 Bildschirme
――半之丞は、何日ぶりかに巡りあった行人が、くろがね天狗の装束を見るより早く逃げだすことを恐れた。
柳原の方から橋をコトコトと渡りはじめた珍らしき行人、――それは近づくままに、いたく半之丞を愕かした。
「ほう。……女人だ!」それは紛れもなく、お高祖頭巾に面を隠した若い女性だった。
「女人ではなァ。……」と首を傾けたが、「なに女人大いに結構。これも憎き女の片割れじゃ。一刀のもとに切り捨ててやるまでのこと……」
お高祖頭巾の女は、もう間近になった。半之丞はツツーと柳の大木の陰から飛びだした。
「待たれい。――」と一声。
その声のもとに逃げだすかと思った女は、逃げるどころか、呀ッという間に飛鳥の如く半之丞の懐に飛びこんで来た。
「おおッ、――」
と危く身を避け、慌てて強引に大刀を横に払ったが、惜しや空を切り、その弾みで身体の中心を失った。
「し、失敗った。」と叫んだ途端に、横腹に灼けつくような疼痛を覚えた。
「呀ッ。――」
「思い知ったか、夫の敵!」
女人はヒステリックな声で叫んだ。一命を投げだしたお妙の必死の刃は、もともと手練の欠けた半之丞を美事に刺し貫いたのだった。