Japanische Klassiker mit Furigana
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くわのおこったはなし
くわの怒った話
小川 未明
Lesen Sie くわの怒った話 (くわのおこったはなし) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 3.326 Zeichen · 7 Bildschirme
「ああ、いやないやなくわ仕事も、今日かぎりでしなくていいことになった。これから、町にりっぱな店を出して、その帳場にすわればいいのだ。仕事はみな奉公人がしてくれるし、金は銀行に預けておけば、利子に利がついて、ますます財産が殖えるというものだ。もうこんなくわなどを使うことはあるまい。まったく不要なものだ。」と兄はいって、永年自分の手に握ってきたくわを、地面にたたきつけるように投げ出しました。すると、くわは、ひっくりかえって、さもうらめしそうな顔つきをして、兄をながめました。
「なんで、そんないやな顔をして、俺をにらむんだい。もうおまえの世話になどなりはしない。俺は明日から旦那さまだ。おまえは、俺を見たくっても、いままでのように容易に見られはしないのだぞ。」と、兄はあざわらって、くわをののしりました。
それから、幾日かたってから、兄は、町にりっぱな商店を出しました。そして、そこの帳場にすわって、多くの奉公人を使う身分となりました。
彼は、まったくの幸福者となったのであります。ある日、帳場にすわって、兄は、煙草をふかしながら、外の往来をぼんやりとながめていました。