Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
Lesen Sie ぐうたら道中記 (ぐうたらどうちゅうき) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 164.113 Zeichen · 332 Bildschirme
「目ぼしい科は皆書いて置くんだよ。何か引っかゝるからね」
僕達は早速玄関へ上り込んだ。患者は一人も来ていなかった。
「御診察を願いたいので」
と三輪さんは出て来た書生に申入れた。
「少時お待ちを」
といって青年が引っ込んだ後、
「先生余り流行らないようだね」
とお父さんが小さい声でいった。
「しかし履物が大分あるから診察中なんだろう」
と三輪さんは伸び上って土間を見渡した。
「履物って、下駄は今の書生っぽうので、あの靴は皆僕達のだぜ」
とお父さんも土間を覗くようにして相手の誤謬を指摘した。
「成程、然うだね。或は未だ時刻が早過ぎるからかも知れない」
と三輪さんは時計を出して見た。捲き忘れたから例によって止まっている。「一週間捲きのを細君に買って貰い給え」とは先日団さんから受けた説諭だった。兎に角今脱いだ自分の靴をもう他のものと思っている放心者が、深く敵地に入って御大将を担ごうというのだから少し押しが太い。
お父さんと三輪さんは硝子障子の隙間から診察室を覗き始めた。
「いないね」
「まだ寝ているのか知ら?」
「門前雀羅さ」
「爆弾を置いても危険はない」
患者がいないにしては馬鹿に待たせる。