Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
Lesen Sie ぐうたら道中記 (ぐうたらどうちゅうき) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 164.113 Zeichen · 332 Bildschirme
とお父さんが言うと、
「景色が好いかい? 好ければ一寸虎に見せてやろう」
と三輪さんは立ち上って棚から虎を下した。広重と聞いて景色と合点し、景色から田口さんの依頼を思い出したのらしかった。
「どうも巫山戯切っているね。好い耻曝しだよ」
とお父さんが零した。
「一寸拝借」
と田鶴子さんも矢張り虎が気がかりだったと見えて手を伸した。厄介物は三輪さんのところから団さんとお父さんを経て僕の手許へ来た。
「そら、東海道を見せてやるぞ」
と僕は窓から一寸外を覗かせて田鶴子さんに渡した。
「まあ、大きいのねえ! 首を振ってるわ。お前も日本中歩くの? 然う?」
と田鶴子さんは表情たっぷりに言って僕を笑わせた。
虎は少時の間は僕と田鶴子さんの手を幾度か往復した。こんな簡単な玩具も相応退屈凌ぎになった。僕達は何時の間にか大船に着いた。しかしその中に向う側の坊ちゃんが遊び倦きて然も羨ましそうに此方を見詰めながら、
「母ちゃん、よう。母ちゃんようってば!」
を始めたのには少からず弱った。これが家だったら、子供にそんな欲しがりそうなものを見せるから悪いと頭から極めつけられて一も二もなくお代官様に献上してしまうところだ。