Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
Lesen Sie ぐうたら道中記 (ぐうたらどうちゅうき) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 164.113 Zeichen · 332 Bildschirme
冬暖く夏冷たくて、游いでいる魚まで寸分違いありません。そうして近辺に白雪の積む山のないのにやはり夏は冬の倍ほど水が湧きますよ」
「何うも退っ引きなりませんな。此奴は大失策だ」
と仙夢さんは頭を掻いて笑い出して、
「しかし世間体は矢張り富士の白雪ということにして置く方が詩的でいゝですよ。余り理詰めに説明してしまうと、この辺の繁栄策上面白くありません。あれが唯の野良水となった日には早速私の方の営業に差し響きますからな。それに私がこうやって三島の水の宣伝をするのには魂胆があるんです。私は将来あれを壜詰にして、『富士印白雪化粧水』とでもいうものを発売する積りです。何に、リスリンの一滴も落して虚仮威しの綺麗なレッテルを貼れば羽が生えて飛んで行きまさあ。女という奴は馬鹿なものですよ。顔へつける液体となれば、何んな不合理なものでも買いますからね。おや、お嬢さんがいた。失礼々々!」
「随分ですわ!」
と睨んで田鶴子さんは白雪化粧水の見本を零してしまった。
黄昏に沼津へ戻ると、僕達は晩餐を認める為めに料理屋へ案内された。浮影楼という名前をその儘に、昼間なら狩野川の水面に欄干から姿の映りそうな二階座敷に納まった。