Japanische Klassiker mit Furigana
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このにぎりめし
この握りめし
岸田 国士
Lesen Sie この握りめし (このにぎりめし) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.649 Zeichen · 27 Bildschirme
宿賃を催促しないもんだから、それをいゝことにして、飲んじまつたんですよ。だもんだから、早速、友達にそういつて、東京にある僕の絵を二三点、すぐに金にしようと思つて、頼んではあるんです。そう当てになりませんがね。いよいよダメなら、僕自分でちよつと出掛けてみるつもりです。なに二万や三万、どうにかなりますよ、一年も待つ気なら……」
呑気というか、図々しいというか、増田健次には、ちよつと正体のつかめぬところもあつたが、しかし、常識からいつて、この態度はどつちみち承服しかねるように思われた。で、彼もいささか気色ばみ、
「わしは、まだ職権をもつていうわけじやないですが、当てのない金で長逗留をするのは、あとで悶着の種になる……」
と、増田が言いかけると、
「職権をもつて言うんでなけれや、それや、君、余計なお節介だ。そうでしよう。じや、よろしい。職権をもつて、僕をなんとでもするさ。もちろん、法律の命ずるところに、僕は従います。だがねえ、よく考えてみてくれたまえ。この宿の主人は、あれや、いつたい何者です? 旅館の看板を掲げて、あらゆる悪事を働いている。金はどこからでもはいつて来る。