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Japanische Klassiker mit Furigana

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すみだがわ

すみだ川・新橋夜話 他一篇

永井 荷風

Lesen Sie すみだ川・新橋夜話 他一篇 (すみだがわ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.378 Zeichen · 88 Bildschirme

Aozora Bunko

をよせかけながら蹲踞んでしまった。

さっきから空の大半は真青に晴れて来て、絶えず風の吹き通うにもかかわらず、じりじり人の肌に焼附くような湿気のある秋の日は、目の前なる大川の水一面に眩しく照り輝くので、往来の片側に長くつづいた土塀からこんもりと枝を伸した繁りの蔭がいかにも涼しそうに思われた。甘酒屋の爺がいつかこの木蔭に赤く塗った荷を下していた。川向は日の光の強いために立続く人家の瓦屋根をはじめ一帯の眺望がいかにも汚らしく見え、風に追いやられた雲の列が盛に煤煙を吐く製造場の烟筒よりも遥に低く、動かずに層をなして浮んでいる。釣道具を売る後の小家から十一時の時計が鳴った。長吉は数えながらそれを聞いて、初めて自分はいかに長い時間を歩き暮したかに驚いたが、同時にこの分で行けば三時までの時間を空費するのもさして難くはないとやや安心することも出来た。長吉は釣師の一人が握飯を食いはじめたのを見て、同じように弁当箱を開いた。開いたけれども何だか気まりが悪くて、誰か見ていやしないかときょろきょろ四辺を見廻した。幸い午近くのことで見渡す川岸に人の往来は杜絶えている。長吉は出来るだけ早く飯でも菜でも皆な鵜呑みにしてしまった。