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Japanische Klassiker mit Furigana

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すみだがわ

すみだ川・新橋夜話 他一篇

永井 荷風

Lesen Sie すみだ川・新橋夜話 他一篇 (すみだがわ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.378 Zeichen · 88 Bildschirme

Aozora Bunko

もともと芸人社会は大好な趣味性から、お豊の偏屈な思想をば攻撃したいと心では思うもののそんな事からまたしても長たらしく「先祖の位牌」を論じ出されては堪らないと危むので、宗匠は先ずその場を円滑に、お豊を安心させるようにと話をまとめかけた。

「とにかく一応は私が意見しますよ、若い中は迷うだけにかえって始末のいいものさ。今夜にでも明日にでも長吉に遊びに来るようにいって置きなさい。私がきっと改心さして見せるから、まアそんなに心配しないがいいよ。なに世の中は案じるより産むが安いさ。」

お豊は何分よろしくと頼んでお滝が引止めるのを辞退してその家を出た。春の夕陽は赤々と吾妻橋の向うに傾いて、花見帰りの混雑を一層引立てて見せる。その中にお豊は殊更元気よく歩いて行く金ボタンの学生を見ると、それが果して大学校の生徒であるか否かは分らぬながら、我児もあのような立派な学生に仕立てたいばかりに、幾年間女の身一人で生活と戦って来たが、今は生命に等しい希望の光も全く消えてしまったのかと思うと実に堪えられぬ悲愁に襲われる。兄の蘿月に依頼しては見たもののやっぱり安心が出来ない。なにも昔の道楽者だからという訳ではない。