Japanische Klassiker mit Furigana
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すみだがわ
すみだ川・新橋夜話 他一篇
永井 荷風
Lesen Sie すみだ川・新橋夜話 他一篇 (すみだがわ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.378 Zeichen · 88 Bildschirme
九
長吉に志を立てさせるのは到底人間業では及ぬ事、神仏の力に頼らねばならぬと思い出した。お豊は乗って来た車から急に雷門で下りた。仲店の雑沓をも今では少しも恐れずに観音堂へと急いで、祈願を凝した後に、お神籤を引いて見た。古びた紙片に木版摺で、
お神籤の図
お豊は大吉という文字を見て安心はしたものの、大吉はかえって凶に返りやすい事を思い出して、またもや自分からさまざまな恐怖を造出しつつ、非常に疲れて家へ帰った。
九
午後から亀井戸の竜眼寺の書院で俳諧の運座があるというので、蘿月はその日の午前に訪ねて来た長吉と茶漬をすました後、小梅の住居から押上の堀割を柳島の方へと連れだって話しながら歩いた。堀割は丁度真昼の引汐で真黒な汚ない泥土の底を見せている上に、四月の暖い日光に照付けられて、溝泥の臭気を盛に発散している。何処からともなく煤烟の煤が飛んで来て、何処という事なしに製造場の機械の音が聞える。道端の人家は道よりも一段低い地面に建てられてあるので、春の日の光を外に女房共がせっせと内職している薄暗い家内のさまが、通りながらにすっかりと見透される。そういう小家の曲り角の汚れた板目には売薬と易占の広告に交って至る処女工募集の貼紙が目についた。